バンビ「あ、そういえば。カレンって、もうすぐ......」

花 椿「なになに?」

バンビ「ふふっ、誕生日だよね。」

花 椿「うん、そうなんだ。
    ......また歳とるのか。もう背は伸びないといいけど。」

バンビ「高校生でも、背伸びる人いるよね。
     スポーツやってると、特に。」

花 椿「やめてよ!これ以上伸びたら、泣いちゃうから!」

バンビ「(かっこいいのになあ......)」

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宇賀神「バンビ。」

バンビ「あれ、ミヨ?」

琉 夏「○○ちゃん、まいど。」

バンビ「あ、琉夏くん。お休みなのにバイト?」

琉 夏「そう、生活苦だから。 この子、知り合い?」

バンビ「うん、宇賀神みよさんだよ。
     ミヨ、お花買いに来たの?」

宇賀神「買わない。 データの更新だけよ。」

琉 夏「データって?」

バンビ「ミヨは星占いに凝ってるんだよ。良く当たるんだよ? ね?」

宇賀神「桜井琉夏。かに座、O型。
    桜井琥一の弟。美貌のプリンスして女子から大人気。
    しかしその正体は――」

琉 夏「宇賀神さん。みよちゃん...... うん、みよちゃんだ。」

宇賀神「ちゃんって、呼ばないで。」

琉 夏「ヤダ、呼ぶ。いい名前じゃん。
    可愛くて、すごく似合ってる。
    みよちゃん。」

宇賀神「......”ちゃん”じゃない。」

琉 夏「みーよちゃん。」

宇賀神「............」

バンビ「ミヨ?」

宇賀神「帰る。 バンビ、バイバイ。」

バンビ「う、うん、バイバイ。気をつけて。」

琉 夏「まいど。」

宇賀神「騙されない!」

琉 夏「あらら...... 俺、怒らせちゃった?」

バンビ「(ミヨが照れちゃった......)」

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宇賀神「バンビ。」

バンビ「あれ、ミヨ?」

宇賀神「助けて。」

バンビ「なに、どうしたの?」

バンビ「あ、琥一くん。今日はバイト?」

琥 一「おう。」

宇賀神「桜井琥一に襲われる。」

バンビ「えぇっ!? ちょっと、琥一くん!」

琥 一「待てって!
    俺は迷子のガキかと思って事務所に連れてこうと......
    なんで俺の名前知ってんだ?」

宇賀神「ガキって言った。」

バンビ「この子は、宇賀神みよさん。はば学で、同い年だよ?
     ミヨは、占いに凝ってるんだよね?」

琥 一「同い年だぁ? マジかよ......」

宇賀神「桜井琥一、牡牛座。A型。
    桜井琉夏の兄。性格は極めて粗暴。
    ガキって言うな、バカ。」

琥 一「あぁ?」

宇賀神「バンビ。」

バンビ「もうっ!怖がってるでしょ!」

琥 一「いや、だってそいつが――」

バンビ「ミヨ、琥一くんに何か用があったの?」

宇賀神「情報収集してた。」

琥 一「なんだそりゃ。」

バンビ「ミヨの占いは、当たるって有名なんだよ。 ね?」

宇賀神「当たる。星の導きによって。」

琥 一「よくわかんねーけど......
    とにかくチョロチョロすんな。危ねぇだろ。」

宇賀神「......帰る。 バイバイ、バンビ。」

バンビ「うん、じゃあね、ミヨ。」

宇賀神「チョロチョロって言うな、バカ。」

琥 一「なんだぁっ?」

琥 一「○○、オマエ、変わったダチが多いな......」

バンビ「(本当にそう思う、他にも琥一くんとかね......)」

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バンビ「(......あれ?あそこにいるの、ミヨ?)」

バンビ「ミヨ!」

宇賀神「バンビ。」

バンビ「買い物? あ、情報収集とか?」

宇賀神「買い物、お母さんに頼まれて。もう終わった。」

バンビ「あんまり多くないんだね、買い忘れかな。」

宇賀神「野菜、買ってないから。」

バンビ「? 野菜は頼まれなかったんだ。」

宇賀神「頼まれた。」

バンビ「ええ!?買わなくていいの?」

宇賀神「いい。食べたくない。」

バンビ「でもお母さんに怒られるんじゃ......」

宇賀神「怒られるけど、
    嫌いなもの食べるよりはいい。 じゃあ。」

バンビ「(うーん、大丈夫かな)」

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???「カッコ悪ぃ。嫌だ。」

???「馬鹿だね、この子は。カッコいいって!」

バンビ「(ん? あの声は......)」

バンビ「不二山くん!カレン!」

 

不二山「あ。」

花 椿「あっ!バンビ~♡」

不二山「バンビ......?」

バンビ「う、うん...... えぇと、どうしたの?」

花 椿「ねぇ、どう思う?
    カレさ、動物的には何だと思う?」

バンビ「......動物的?」

不二山「ほら見ろ。意味わかんねぇンだよ。
    なんで動物なんだよ?なぁ?」

バンビ「う~ん...... カレンなら?」

花 椿「くま。」

バンビ「ああ!」

不二山「ああ、じゃねぇよ......
    どうせつけんならよ、もっと、ねぇのかよ。
    タイガーとかウルフかよ。」

花 椿「なんで?いいじゃん、くま。強いよ、くまは?」

不二山「そうだけどよ、なんだかこう......
    なあ、おまえが何がいい案出せ。」

バンビ「わたし!?」

不二山「そうすりゃこいつも納得すんだろ。早く。」

バンビ「う~ん...... じゃあ、ヤマアラシ!」

不二山「............ まんまか。」

バンビ「うっ......だって!」

不二山「まあ、クマよりはいい。
    じゃあ、それな。ヤマアラシだ。」

花 椿「ダメ、くま。
    アンタはくまちゃんでいきな?」

不二山「......ちゃん?」

花 椿「おっと、時間切れ。今日のところは諦めるわ。
    じゃあね、くまちゃん、バンビ。 チャオッ!」

不二山「クマにバンビ......森かよ、ここは。」

バンビ「(不二山くんがくまなら、
     他の人はどう見えてるんだそう......)」

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???「○○。」

バンビ「ん? あっ、不二山くん。お買い物?」

不二山「うん。いいとこで会った。」

不二山「参考書とマンガ。おまえならどっち買う?」

バンビ「ず、ずいぶん極端な選択だね......」

不二山「数学でわかんねーとこあったから参考書買いに来て、
    中見たらもっとわかんなくなった。」

不二山「役に立たないグループ。」

バンビ「う、うん。」

不二山「困ったなーと思ってすぐ横見たら、
    面白そうなマンガ。柔道の。」

不二山「役に立つグループ。」

不二山「自分のためになるのは役に立つグループ。 だよな?」

バンビ「う、う~ん...... そう......かな?」

不二山「よし、決まった。」

バンビ「え?」

不二山「おまえの意見、参考になった。お礼言う。」

バンビ「え、あの......」

不二山「数学で悪い点とったらおまえのせい。」

バンビ「え!」

不二山「......にはしねーから安心しろ。 じゃな。」

バンビ「あ、不二山くん!」

バンビ「(あの感じ......きっとマンガ買うよね?うーん......)」

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バンビ「(そろそろ帰ろっかな。
     あれ、あそこにいるのは......)」

バンビ「琥一くん!」

琥 一「○○。おう、買い物か?」

バンビ「そんなところ。 琥一くんも?」

琥 一「まあな。
    ジャンク屋に、探してたバイクのパーツが入ったから、
    安く譲ってもらった。」

バンビ「へぇ......どんなの?」

琥 一「オマエ、聞いてわかんのかよ?」

バンビ「わかるかもしれないよ?」

琥 一「ピストンリングとガスケットだ。」

バンビ「???」

琥 一「みろ。ボアアップ―― エンジン強くすんだよ。
    トルクが足らねぇってルカが言ってたからよ。」

バンビ「ふぅん。 ねぇ、琉夏くんの運転って
     やっぱり琥一くんからみても上手いの?」

琥 一「上手いなんてもんじゃねぇよ。
    動体視力と反射神経が、人間離れしてんだ、アイツは。」

バンビ「そっか。自慢の弟だね?」

琥 一「べつに...... ちょっと、ビビらせてやろうと思ってよ?」

バンビ「(ふふ、琥一くん、照れてる)」

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バンビ「(あれ?あそこにいるの......)」

琥 一「○○。」

大 迫「おう、どうした?ショッピングか?もう遅いぞ?」

バンビ「あ、はい!いま帰るところです!
     ......琥一くん、なんかしたんですか?」

琥 一「ウルセー。」

大 迫「コラ、琥一! まあ......いつものことだ。」

大 迫「補習をサボったと思ったら、
    こんなところで...... 先生ビックリした。」

琥 一「すんません。」

大 迫「琥一、もう少し大人になったらどうだ?」

琥 一「はぁ。」

大 迫「勉強が苦手でもいい。ヤンチャも結構。
    でもな、約束は守れ。それが男だ。」

琥 一「へい。」

バンビ「(ふふ......なんだかセリフと見た目があべこべみたい......)」

大 迫「ん?どうした?」

バンビ「いえ!なんでも!」

大 迫「よし!
    じゃあ、二人ともまっすぐ家に帰れよ? じゃあな!」

琥 一「ハァ~......説教が長ぇのなんの......」

バンビ「ふふ、でも琥一くん、
     大迫先生の言うことは大人しく聞くんだね?」

琥 一「まあな。 大迫には、出席ごまかしてもらったり、
    ずいぶん世話になってるからな。」

バンビ「(さすがの琥一くんも、大迫先生にはかなわないんだね)」

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バンビ「(のんびりしてたら遅くなっちゃった......)」

???「先生、ケンカするなとか、そういうきれい事は言わない。
    先生も、昔ちょっと荒れてた時期があってな。」

???「大迫ちゃんが?ウソだぁ。」

???「ウソなもんか。」

バンビ「(あれ、あそこにいるの......)」

バンビ「琉夏くん、大迫先生!」

琉 夏「○○ちゃん。」

大 迫「おう! どうしたぁ、女子がこんな時間に?早く家に帰れ。」

バンビ「すみません!」

大 迫「なぁ、琉夏。
    なんでもいい、先生に話したいことがあるか?」

琉 夏「ないよ?」

大 迫「本当だな?」

琉 夏「うん、本当。」

大 迫「そうか...... うん、まあよし!」

大 迫「でもな、なんかあったら、すぐに先生に言え。
    全力でぶつかってこい。先生は絶対逃げない。」

琉 夏「オッケー、そうする。
    でも先生、俺が全力でぶつかったら、倒れちゃうよ?」

大 迫「バッカヤロー、お前なんかにつぶされるか!
    こう見えても大学時代は、ラクビー部No.8だぁ!」

琉 夏「そっか。 なんか、スゲェ。」

大 迫「フフン!わかりゃ、いい。
    じゃあ、二人とも早く帰れよ?」

バンビ「琉夏くん、なんかしたの?」

琉 夏「なんにも?」

バンビ「じゃあ、どうして大迫先生に――」

琉 夏「大迫ちゃんはさ、俺のこと見つけるいつも
    なんだかんだ話しかけてくれる。」

バンビ「そうなんだ。」

琉 夏「いい先生だよ、大迫ちゃん。
    ちょっと、ちっちゃいけど。」

バンビ「(ふふ、でも......そうだね、いい先生だね)」

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花 椿「しかし毎日寒いねー!」

宇賀神「こたつに住みたい。」

バンビ「ふふっ、寒いの苦手なんだ。」

花 椿「ミヨは暑いのも苦手だけどね。」

宇賀神「平気な方がおかしいんだもん。」

花 椿「じゃあ克服のために、バレー部の寒稽古に参加しよう!」

宇賀神「克服しなくていい。」

バンビ「寒稽古って......そんなのあるの?」

花 椿「そんなものはない! でもやってもいいかもね。」

宇賀神「信じられない......」

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