バンビ「男の人が女の人にドキドキするのってどんな時ですか?」
紺 野「目が合った時かな。」
バンビ「目......」
紺 野「うん。その上ニッコリ笑われたら、ますますドキッとする。」
紺 野「何か用事を忘れてるんじゃないかとか......
脅迫観念っていうのかな。」
バンビ「(......ドキドキの意味が違うみたい)」
バンビ「男の人が女の人にドキドキするのってどんな時ですか?」
紺 野「目が合った時かな。」
バンビ「目......」
紺 野「うん。その上ニッコリ笑われたら、ますますドキッとする。」
紺 野「何か用事を忘れてるんじゃないかとか......
脅迫観念っていうのかな。」
バンビ「(......ドキドキの意味が違うみたい)」
バンビ「どんな女の子が好かれると思います?」
紺 野「僕なら、一緒にいてホッとする子がいいかな。
肩肘張らずにいられる。」
紺 野「似た価値観を持ってるていうか、波長が合うっていうのかな。」
バンビ「なるほど。」
紺 野「結局、好きになった人がその人の好みになるかもしれない。」
紺 野「......月並みな回答になっちゃったけど。」
バンビ「ふふ、参考になります。」
バンビ「男の人って、いつも何を考えてるんですか?」
紺 野「女の人って、いつも何を考えてるんだろう?」
バンビ「えっ?」
紺 野「はは、ごめん。僕も同じようなこと考えるから。」
紺 野「本当に何を考えてるんだろうな。 男も、女も。」
バンビ「(......聞き返されちゃった)」
???「......やっぱり信じないぞ。」
???「信じる信じないは個人の勝手。
でも、見えたのは本当。」
バンビ「(あれ、ミヨと設楽先輩? どうしたんだろ......)」
バンビ「ミヨ!設楽先輩!」
宇賀神「バンビ。」
設 楽「○○。おまえか。」
バンビ「なんだか楽しそうですね?」
設 楽「誰が? おまえの目、節穴なんじゃないのか?」
宇賀神「わたしはちょっと楽しい。
設楽先輩が占いの結果に喜んでくれて......」
設 楽「喜んでなんかない。信じてないし。」
宇賀神「でも、さっきは......」
設 楽「うるさい。未来のことなんてわかるわけないだろ。」
バンビ「行っちゃった...... ミヨ、占いの結果って?」
宇賀神「設楽先輩が、真っ赤なスーツの人と一緒に
コンサートホールにいるのが見えたの。」
バンビ「真っ赤のスーツの人?」
宇賀神「有名な指揮者にそういう人がいるみたい。
設楽先輩に言ったら、目を輝かせて喜んでた。」
バンビ「目を輝かせる設楽先輩......」
宇賀神「設楽聖司。みずがめ座、A型。
幼い頃は神童と呼ばれた天才ピアニスト。
今は謎の活動休止中。」
宇賀神「性格は天の邪鬼だけど、顔に出るからわかりやすい。
そこがちょっとかわいい。」
バンビ「えっ?」
バンビ「(今のは星の導きによる答えなのかな......)」
???「蓄積された結果と、新たに収集した情報。
あとは星が導いてくれる。」
???「星か......問題はそこなんだよな。」
バンビ「(あれ? あそこにいるのは......)」
バンビ「ミヨ!紺野先輩!」
宇賀神「バンビ。」
紺 野「○○さん。」
バンビ「何話してたんですか?」
紺 野「宇賀神さんに、占いについて聞いてたんだ。
なかなか興味深い話が聞けたよ。」
バンビ「へえ......紺野先輩も、星の導きを信じてるんですか?」
宇賀神「ぜんぜん。頭から疑ってかかってる。
占いに科学的な証明を求めるのが、その証拠。」
バンビ「なるほど......」
紺 野「うーん、僕なりに理解しようと思っただけなんだけど。」
宇賀神「頭で理解するんじゃなくて、心で理解しなきゃダメ。」
紺 野「心か......」
紺 野「そうだな、僕には難しそうだ。
でも、君の話は面白かったよ。これは本当。」
宇賀神「はい。」
紺 野「今日は貴重な話をありがとう。
不愉快な思いをさせてたら、ごめん。 それじゃ。」
宇賀神「..................」
バンビ「ミヨ?」
宇賀神「紺野玉緒。やぎ座、O型。
はばたき学園生徒会会長。温厚で面倒見のいい優等生。」
宇賀神「彼の並外れた忍耐力は姉と友人付き合いの賜物。」
バンビ「えっ?」
バンビ「(今のは星の導きによる答えなのかな......)」
バンビ「(さてと、そろそろ家に帰ろうかな!
あれ、あそこの2人......)」
???「オマエ......小学生の小遣いじゃねぇだから......」
???「じゃ、コウはあといくらだよ?」
???「俺は、まあ、たまたまデカい買いもんがあって......」
バンビ「琥一くん、琉夏くん!
そんなとこにしゃかんでたら、周りの迷惑だよ?」
琥 一「ん? なんだオマエか。」
琉 夏「○○ちゃん、オッス、買い物?」
バンビ「そだよ。 何してるの、2人して。」
琥 一「まあ、ちょっとな。今月のやりくりをな。」
琉 夏「今月はヤバい。またコウがガラクタ買っちゃったから。」
琥 一「ガラクタじゃねぇ。
テメェこそ、虫みてぇに甘いもんばっか買ってきやがって。」
琉 夏「虫って言うな。
いいだろ、俺のはちゃんと食えるんだから。」
琥 一「胸やけすんだよ。
どうせなら肉とか、ちっとはマシなもんをーー」
バンビ「ね、ねぇ、わたしちょっと貸そうか?」
琥 一「!!」
琉 夏「!!」
バンビ「あの......ちょっとくらいなら。」
琥 一「おいおい......女から借りるほど落ちぶれちゃいねぇよ。」
琉 夏「ああ。これは俺たち兄弟の問題だ。 行くぞ、コウ。」
琥 一「おお。 じゃあな。」
バンビ「(カッコつけてる......一瞬考えたくせに)」
バンビ「設楽先輩、もうすぐ体育祭......」
設 楽「..................」
バンビ「......の話は置いといて。」
設 楽「......高校に入る前は体育の授業をよく休んでた。
運動会もほとんど見てるだけだったな。」
バンビ「えっ、体が弱かったとか?」
設 楽「指を守るためだけだ。
バレーボールとかバスケとか、
突き指でもしたらピアノが弾けなくなる。」
設 楽「リレーでバトンを受け損なって指を痛めるかもしれない。
......かもしれないばかりで、いろんなものを見送ってきた。」
バンビ「......でも、今回は見送らなくていいんですよね?」
設 楽「参加せざるを得ないんだよ。」
設 楽「大迫先生に体育の単位がほしければ
体育祭だけは出ろと脅されたからな。」
バンビ「(......ホントは見送りたいのかな)」
バンビ「(あれ?あそこの2人......)」
花 椿「へぇ、コーイチ君ってさ、
ビンテージとか着るんだ。かなり意外......」
琥 一「ウルセーな。着ちゃ悪ぃのかよ?」
花 椿「ほめてんだから、いちいち突っかかんないの。うっとーしーな。」
琥 一「あぁ?」
バンビ「琥一くん!カレンも、何してんの、こんなとこで?」
花 椿「あっ!バンビ~♡」
琥 一「なんだ、オマエ、こいつの知り合いか?
つーか、バンビってーー」
バンビ「えぇと、そうそう!カレン、友達だよ!」
花 椿「ねぇねぇ、コーイチ君って学校じゃあんななのにさ、
普段は結構、お洒落だね。知ってた?」
バンビ「うん、そうだよ。」
花 椿「そっか。夜露死苦とか刺繍した服着てんのかと思った。」
琥 一「着ねぇだろ......」
バンビ「琥一くんは、お洒落にこだわってるんだとね?」
琥 一「バカ、お洒落じゃねぇ。ポリシーだ。」
花 椿「ちょっと......バンビにバカって言った?
ぶっ飛ばすよ、バカヤンキー。」
琥 一「なんだ、コラ。」
花 椿「おっと。アタシ、急いでたんだ。 しゃあね、バンビ♡」
バンビ「バイバイ、カレン!」
琥 一「バンビってよ...... オマエーー」
バンビ「変わった友達が多いよね。うん、知ってる......」
???「家には帰らないのか?おばさん、心配してたぞ?」
???「そっか、うん、まあその内ね。」
バンビ「(あれ、あそこにいるの......)」
バンビ「琉夏くん、設楽先輩!」
琉 夏「ん?」
設 楽「○○。何だ、こんなとこで。」
バンビ「設楽先輩は、お買い物ですか?」
設 楽「あぁ、運転手が母の使いで......
それより、おまえたち知り合いか?」
バンビ「はい。琉夏くんたちも?」
琉 夏「うん、実家が近所だから。」
バンビ「そうだったんだ?」
設 楽「しかし......おまえちょっと見ない内にずいぶん変わったな。
なんだそのアタマ?」
琉 夏「カッコいい?」
設 楽「”なんだ”っていうのは、どういうつもりだってことだ。
つまり、理解できないってことだ。」
琉 夏「怒られちゃった。」
運転手「あの、坊ちゃま、そろそろ参りませんと、ご予定が......」
設 楽「うん。じゃあな。 琉夏、おばさんに連絡しろよ?」
琉 夏「わかった。コウにも伝えとく。」
設 楽「琥一!? ......あ、あぁ、そうだな。」
バンビ「?」
設 楽「じゃあ!」
バンビ「はい!」
バンビ「そっか、2人は幼馴染みなんだね?じゃあ、琥一くんも?」
琉 夏「そう。小学校の頃は、3人で一緒に登校してた。」
バンビ「へえ!でもなんか、ちょっと想像できないかも。」
琉 夏「昔からあんな感じだよ?
それで、よくコウに泣かされてた。」
バンビ「(だから琥一くんの名前が出たら慌てたのか......)」
バンビ「(さてと。あとは夕飯の買い物して......あれ?)」
琉 夏「○○ちゃん。オッス、買い物?」
バンビ「うん、これから夕飯の買い物して、帰るところ。 琉夏くんは?」
琉 夏「バイト帰り。店長に臨時で駆りされた。」
バンビ「お休みなのに?大変だね......」
琉 夏「まあね、生活厳しいから。
そうだ!カレー作れる?牛肉のやつ。」
バンビ「ビーフカレー?作れるよ?」
琉 夏「難しい?」
バンビ「大丈夫、簡単だよ。琉夏くんが作るの?」
琉 夏「バイト代入ったからさ、作ろうかと思って。
コウのやつ、好きだから。」
バンビ「そっか......優しいんだね?」
琉 夏「え? あぁ、まあ......たまには。世話かけてるしな。」
バンビ「よし、じゃあ、とっておきのレシピを教えてあげよう!」
琉 夏「大体でいいんだ。どうせ、味なんて分かんないんだ、アイツ。」
バンビ「(ふふ、照れてる。
なんだかんだ言って、お兄ちゃん思いなんだ)」